雨が降っている。天気予報は確かに予測していたが、まさかこんなに降るとは思わなかった。これでは、誰もが家から一歩も出たくないだろう。そして私も例外ではない。さえない降り続く雨音は、心にまで染み入り、全身がだるさに覆われていく。
何もやりたくない。そう思いながらも、仕事をする必要性、家事をこなす責任、それらの常識が私を追い詰める。しかし、心地よいまでのだるさに包まれている私は、それらを全て無視したくなる。
さて、何をやるべきか。この状態から抜け出すためには何か手を付けなければならないのだろうが、雨の音は想像以上に力を奪ってしまう。考えるだけでも一苦労だ。まるで心が湿って重くなり、動かすことが出来なくなっているみたいだ。
つまり私は、今、この降り続く雨と闘う必要があるのだろうか。窓を開ければ、肌を冷やす風が部屋に侵入する。濡れた空気が身体にまとわりつき、その寒さが現実を教えてくれる。これ以上自分を追い詰めるのはやめよう。一息つく時間も必要だ。だるさを感じるのも、何もやりたくないと思うのも、それはそれで一つの現実だ。
私の心は、この部屋の中にある。そしてこの雨音の中にある。だから、何もやらない。ただ静かに時間が過ぎていくのを待つだけだ。そしてこの部屋と、この雨音と、私の心が一つになる瞬間を待つだけだ。
